コモングラウンドについてもっと詳しく
コモングラウンドに寄せられた質問をFAQ形式で回答します。
- CGLLって標準化じゃないの?
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⼀定の型にはめ込んでしまう標準化ではなく、できるだけ多くの⼈が汎⽤に使いやすい仕様を想定して、あらかじめ⽤意しておく共通仕様です。使うのも使わないのも⾃由だけれど、あると多くの⼈や事業者が開発や検証、シミュレーションなどさまざまな⾯で助かるような記述形式の整理のしくみで、社会や記述形式のトレンド、個別のニーズに応じて柔軟に変更可能な体系を指向しています。
標準化というよりは、もっとオープンで変化を許容するシステムです。 - 都市OSとはどう違うの?
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コモングラウンドは⼈や各種 NHA(Non-Human Agent)、スマート化された環境との間の連携を担う3D記述の汎⽤仕様の体系で、その上を流れるデータそのものは原則として含みません。
⼀般に都市OSで扱うのは⽂字や数字で記述可能なデータセットの連携システムで、原則としてオブジェクトや環境の3D記述を前提としていません。都市 OSにも⼀部 3Dデータ仕様を含みますが、⼀般に⼤きな都市的スケールの扱いに限定されていて、⼈や⼈スケールの各種エージェントに関る空間や時間のスケールの、個別のシーンごとの扱いは得意としていません。
コモングラウンドは⼈スケールでの空間記述、マルチエージェントの処理、ミリ秒レベルでの時間反応性、記述の軽量化による計算負荷や通信負荷の軽減、室内空間の記述や測位などの領域での優位性を指向し、都市OSが苦⼿な領域を実効的に扱う体系で、相互補完関係にあると考えられます。 - Plateauとはどう違うの?
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空間やオブジェクトの3D記述の形式(ジオメトリ)として、PlateauはGISの⼀形態である CityGML を、コモングラウンドはゲームエンジンをベースとする前提です。
ジオメトリやメタデータ記述のしくみや構造、それぞれが得意とする空間スケールや時間反応性などの特性が⼤きく異なり、現状でそれらの間に十分な互換性は確⽴されていません。ゲームエンジンの中にも複数の形式がありますが(UnityやUnreal Engineなど)、コモングラウンドはゲームエンジン間での汎⽤性を前提として開発を進める想定です。 - ⼀般的なゲームエンジンとはどう違うの?
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⼀般のゲームエンジンがゲーム等デジタル空間内だけで使われますが、コモングラウンドはゲームエンジンの機能を活⽤しながら、各種エージェントや環境に組み込まれたIoTデバイス(センサーやマーカー、アクチュエーター)と連携して、デジタル空間とフィジカル空間の双⽅向の連動のための共通仕様が組み込まれている点が異なります。
デジタル空間とフィジカル空間を双⽅向に、⾼解像度かつリアルタイムに接続するしくみ全体がコモングラウンドであり、ゲームエンジンはその3D記述の仕様として組み込まれている関係です。
したがって、コモングラウンドがあることで、ゲーム⾃体も実空間に拡張することが可能です。 - 3D記述の仕様には他にどんなものがあるの?
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都市や地図などの記述に使われるGIS系、建設や製造などに使われるBIM/CAD系、レーザー測量などで使われる点群、ゲームの描画などで使われるサーフェスメッシュ、あらゆる空間をグリッドに分割して記述するVoxelなどの系統があり、それぞれの中でさらに細かな仕様に分かれています。
それぞれの系統には得意なスケールや特性があり、現時点で実空間のあらゆるスケールや情報を⼀つの仕様で有効に扱えるような3D記述の仕様はまだ開発されていません。⽬的やスケール、時間反応性などに応じて適切なプラットフォームを選択し、それらの間の連携のシステムをオープンに構築しておくことが重要です。 - デジタルツインやミラーワールドとの違いは?
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どんなものでも、何らかの仕様でデジタル空間に記述すればそれは⼀つのデジタルツインです(無限にその記述形式や精度の設定はあり得ます)コモングラウンドは、そうした多様なデジタルツインの記述形式や精度のうち、⼀般的に使いやすい記述形式や精度をあらかじめ設定して明⽰し、誰でも使えるようにビジネスレイヤごと、場所ごとに設定することができる、選択性の⾼い汎⽤の記述仕様の体系です。
ミラーワールドはイェール⼤学の計算機科学の教授デイヴィッド・ゲランターにより提唱された概念で、実空間をデジタル空間内に鏡像として構築することを前提とし、実空間との間に新しく多様な価値⽣成の組み合わせを⽣み出すことが期待されている、複合的な環境や概念全体を指します。 - コモングラウンドは⼀つしかないの?
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いいえ、いろんな可能性があり得ます。とりあえずコモングラウンド・リビングラボでは、より汎⽤性の⾼そうな⼀つの仕様を設定してその実装性を試していきますが、コモングラウンドの中にも、基本となる3D記述体系であるゲームエンジンの選択や組み合わせや、実空間のセンシングやアクチュエーションを⾏う仕様や体系など、多様な設定があり得ます。
そうしたシステム全体をできるだけフレキシブルに、変化を許容可能な形を探索、構築するための第⼀歩がコモングラウンド・リビングラボです。 - どんな場所で使えるの?
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ゲームエンジンは、室内空間や屋外、歩道、広場など、⾝体に近いスケールを得意としています。
例えば住宅の中やオフィスの中、駅や空港、スタジアムやテーマパーク、ショッピングモールや官公庁の建物などです。
これらの空間にコモングランドを構築し、ロボットやドローン、もしくは物理的実態を持たないARや VRのアバター(NHA:Non-Human Agent)が⾃由に動ける空間記述がなされることで、⼈とNHA、NHAと環境、またはNAH同⼠での複雑で⾼精度のインタラクションが可能になります。 - コモングランドを活⽤したビジネスは誰がやるの?
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次世代のスマートシティを担う様々な⽴場(プラットフォーマー、サービサー、メーカー)から、それぞれにコモングラウンドを活⽤したビジネスに関わることができます。
また、そうした関わりが、CGによる新しいエコシステムの重要な⼀画を担うことになります。
それぞれの⽴場がWIN-WINの状態で開発にコミットするには、早い段階から開発の⽅向性、連携の動きといった市場の動向が⾒えることが不可⽋です。こうした異なる業態が連携して初期の仕様開発やビジョン構築を⾏うサンドボックス機能が、コモングラウンド・リビングラボです。
現在、より具体的な事業領域と実装の形を議論するビジネス実装ワーキンググループを複数⽴ち上げて、実装の具体的なニーズを描くことで基礎仕様の構築に反映させる活動も始めています。 - 都市・建築領域でのAI活⽤時のコモングラウンドの役割は?
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都市や建築といった複雑な領域にAIを適⽤するには、空間情報とは別の多様なメタデータを明確に構造化(デジタル記述)し、安定的に取得・整理できるしくみが不可⽋ですが、現在実空間でのそうしたデータは驚くほど取得できていません。
コモングラウンドという実空間そのものをデジタル空間との接続⾯、UI化するプラットフォームがフィルターとして存在することで、⽇常の多様なエージェントによる⾏為や変化のデータが構造化された形で取得可能になり、都市や建築におけるデジタル記述情報が、これまでとは異なる次元で扱えるようになります。都市のような領域でAIを適⽤するにはこうしたデータの構造化は不可⽋で、コモングラウンドはそれを可能にする前提となるしくみだと⾔えます。